前夜 ペルー
「紙屑ですから、ドルだけがすべてですから、向こうの通貨はこまめに両替してください。

とにかくすりひったくりが多いですから、パスポートはコピーをとっておくのがいいと思います。

それから夜緊急に連絡を取りたいときはここに連絡してください。」 

旅行会社の高橋さんが航空券と最終日程表を渡しながらそう言った時、

よせばよかったかなと内心思った。

とにかく行くと決めてから好運大吉の情報は一つもなかった。 

ほんとうにだいじょうぶだろうか。不安ばかり積もった。

なんといっても日本の正反対の南半球である。高山地帯にスペイン語圏。治安の悪さ、テロの頻発。

おまけに自然の恐さ、地震に洪水。

そんな気持ちに追い打ちをかけるように、嫌なことをいわれてしまい意気揚々ならぬ意気消沈。

高橋さんいわく、

「 南米の通貨残すべからず、南米の通貨紙屑と思え。」

なにはともあれ最初の南米観はこのようにして出来上がった。