河を渡る女
あなたもまた歩くものひとり

日中河上ばかりに吹き続ける疾風の中を

氷河に削り取られた広い河床を歩く

黒い河カリガンダキを

ヒマラヤの襞よりガンジスへと濯ぐ河を

彼女もまた生きてきた時を溯る一尾の魚

インドよりヒマラヤ山中の聖地ムクチナートへ

裸足でやってきたのだ

ヒンズー教徒はいう

神が宿っているのだと

河床に散らばる真っ黒い化石アンモナイトに

数億年前海だったここに今

石となって残る化石アンモナイトに

大地を歩くにふさわしいその足の広がり

その広がりの間に挟まった長い過去の記憶

そのとき

今もつ自分の顔がどこからやってきたのか知るだろう

裸足で歩くという行為の中に